睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは?


 寝ているときに呼吸が止まり、大きないびきを繰り返す病気です。睡眠時無呼吸症候群は、健康と思われる成人の中にも数多く潜在しています。 高血圧、不整脈、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞等の循環器疾患、夜間突然死との関連も指摘されています。 日中の眠気による交通事故、労働災害、仕事や学業の能率低下など,極めて重大な社会問題を引き起こす病気です。SASは、さまざまな生活習慣病を合併すると言われ、SASでない患者さんに比べて次のような危険性が報告されています。



【SASのタイプ】

閉鎖型

 SASの中で一番多いタイプで,無呼吸のときに胸郭と腹壁の呼吸運動は保たれますが,上気道が閉塞し,口や鼻からの呼吸が停止する無呼吸の型のことをいいます。閉塞型睡眠時無呼吸の病因としては,大きな扁桃や舌根が沈下し,上気道が閉塞し,無呼吸となると考えられます。 閉塞型睡眠時無呼吸には「いびき」を伴います。いびきは無呼吸中には起こりませんが,呼吸が再開する時に大きないびきが見られます。その後数回の呼吸とともにいびきが起きた後,再び無呼吸状態になります。

中枢型

 呼吸中枢機能の低下が原因で,呼吸筋の運動が停止する無呼吸の型のことをいいます。一般に脳幹の呼吸中枢機能の低下が原因といわれています。

【問 診】

ESS(Epworth Sleepiness Scale)

 以下の8つの状況において,次の4つの段階で睡眠を評価する方法もあります。それぞれの評価点数の合計が11点以上だと睡眠時無呼吸症候群の疑いが強いと考えられます。


状 況
点 数
1.座って読書しているとき
0 1 2 3
2.テレビを見ているとき
0 1 2 3
3.人がたくさんいる場所で座って何もしていないとき
  (たとえば会議中や映画をみているときなど)
0 1 2 3
4.車に乗せてもらっているとき(1時間くらい)
0 1 2 3
5.午後横になって休憩しているとき
0 1 2 3
6.座って誰かと話しているとき
0 1 2 3
7.昼食後静かに座っているとき
0 1 2 3
8.運転中、渋滞や信号待ちでとまっているとき
0 1 2 3

0点:決して眠くならない

1点:まれに眠くなるときがある

2点:時々眠くなる

3点:眠くなることが多い


【検 査】

スクリーニング検査

携帯用睡眠時無呼吸検査装置(パルスリープ)

 御自宅にて、腕時計感覚で簡単に装着ができます。重さも、わずか100gです。センサーは指と鼻のところの2つだけで、呼吸の状態、いびきの状態、血液中の酸素の状態がわかります。寝る前にセンサーをテープで貼って一晩寝ていただきます。 次の日に、装置を当院までお持ちください。解析結果は、数日中に出ます。

 精密検査が必要な場合は、検査を受けられる病院をご紹介させていただきます。


【治 療】

減量

 一部の患者さんには減量が有効な治療です。減量することにより無呼吸が減少したり無くなる方もいます。

アルコールの制限

 アルコールは気道の筋力を低下させるため就寝前の飲酒はやめましょう。

睡眠中の体位の工夫

 仰向け寝は舌根沈下を招くために無呼吸を悪化させます。なるべく横向きに寝るように工夫をしましょう。

CPAP療法

 世界中でもっともポピュラーな治療方法です。治療の第一選択となります。鼻マスクを装着して、鼻から、狭くなっているのどに、ある一定の空気圧を送り込み気道の閉塞を解消する方法です。もちろん睡眠中にのみ使用します。一晩で劇的に改善する方もいます。



耳鼻咽喉科手術

 肥大した扁桃腺や軟口蓋(咽喉の奥の肉ひだ)を手術にて切り取ります。手術は明らかな耳鼻咽喉科的異常がある患者さんに対して行います。しかし長期効果は半数程度にしか認められないとされています。

歯科的療法

 下顎が上顎より少し前方に固定されるようなマウスピースを作り、気道が狭くなるのを防ぎます。軽度の無呼吸には効果的といわれています。簡便で副作用も少ない良い方法ですが、長期の治療効果についてはまだ明らかになっていません。保険診療外のため約5万円を要します。

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