スギ花粉に対する注射しない舌下免疫療法(SLIT)


 舌下免疫療法(SLIT:SubLingual Immuno Therapy)とは、毎日舌の下にスギなどのアレルギー原因となる植物のエキスをたらし、アレルギー物質を直接体内に取り込む事で体の過剰な反応を抑える方法です。この療法はなによりも世界の医療法の様々な基準を定める世界保健機構(WHO)が「安全な療法です」として勧めている療法です。注射なども行わず、また副作用もほとんどないうえに舌の下にエキスをたらすだけという簡単さから、様々な国のアレルギー研究組織からもお墨付きのアレルギー対策療法です。

 舌下免疫療法は、いわば免疫を刺激して逆に活発にしてやろうという方法で、薬とは異なります。あくまでもその人本人の免疫力の力を頼る所が大きいのが特徴です。

 なんで舌の下なの?という質問を耳にしますが、実はこれ、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンを放出する脂肪細胞が口の中の粘膜には非常に少ない為、アレルギー症状を引き起こさずに免疫に直接刺激を与える事ができるのが理由です。



 この舌下免疫療法(SLIT)は上記のとおり本人の免疫力の力を使う為、期待され評価も高いにも関わらずすべての人に効果がある訳ではなく2〜4割の人には効果が表れないという事もあるようです。厚労省の調書では、スギ花粉の患者のほぼ8割が例年と比べて症状が改善したと答えました。(2015年6月11日)8割の人に効果があると言えばこれは期待する人が多いのもうなずけます。



舌下免疫療法の副作用は

 免疫療法で一番気になるのがアナフィラキシーといった副作用です。舌下免疫療法は今までで、アナフィラキシーなどの重度の副作用を起こした症例は無く、注射と比べてアレルギー反応も少なく、安全性の高い治療法です。









 舌下免疫療法(SLIT)は、安全性が高く、今後多くの患者さんが恩恵を受けることができると思われますが、その施行にあたっては、患者さんも医師も十分な知識をもつことが重要です。舌下免疫療法(SLIT)の治療効果が出るまでは最低2年間の通院が必要で、4年間の治療が最も効果的であるというデータが出ています。

 副作用は少ないとされていますが、特有のものとして、口腔浮腫口内炎症状咽頭刺激感口腔のかゆみなど、エキス投与部位と関連した症状がみられます。また、妊娠中の方、歯科治療中の方、口内炎のある方など投与の中断またはできない方もあります。

 当院では、2015年6月よりシダトレン(鳥居薬品)による舌下免疫療法を開始し、2019年6月より、より使いやすい舌下錠シダキュアに変更になりました。

@初回導入時期に関して

 シダキュアは、花粉オフシーズンに導入開始となります。花粉シーズン中のシダキュア初診は行いません。

A治療を受ける前の心構え

 治療開始前に以下の事項を確認してください。



B対象者:小児の患者さんでも可能ですが当院では小学校3〜4年生から行っております。

 血清抗体検査などで、スギ花粉症であることの確認が必要です。合併症等により受けられない方がいらっしゃいます。

C服用期間

 1日1回少量から服用を始め、2週間は徐々に増量し(増量期)、その後は決まった量を数年に渡り継続します(継続期)。初回服用時は病院内で投与し、投与したのち30分は、院内にて経過をみます。当院では、初回1週間後、2週間後は、予約制といたします。4回目以降は、1か月に1回の受診となります。(ただし2015年9月までは2週間に1度の通院が必要です。)





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