耳鼻咽喉科Q&A:のど編



Q4:

口腔カンジダ症について教えてください。


A4:

からだに悪さをする病原性のカビに「カンジダ菌」があります。最近カンジダ菌が原因で起こる口内炎(口腔カンジダ症)が増えています。

 口腔カンジダ症は、おもに頬の内側の粘膜や舌、口蓋(喉の手前部分)、歯ぐき、唇などが赤くただれたり、白いプツプツや赤い斑点、白い苔(こけ)状の薄皮のようなものができます。また、喉の違和感や痛みで食事が十分にとれず、体力が低下し、他の病気になりやすくなります。



3人に1人は、もともと口の中にカンジダ菌を持っています。

<口腔カンジダ症になりやすい人>

@免疫力が低下した人

 高齢になって身体が虚弱になった方や抗生物質を長期にわたって内服している方、糖尿病、脳梗塞、痴ほう、白血病、がんなどを患っている方は免疫力が低下していますので、カンジダ菌に感染しやすくなります。



A抵抗力が未発達な乳幼児

 赤ちゃんや小さいお子さんは、バイ菌への抵抗力が未発達なので、健康な体でも感染します。出産の時にお母さんの体内から感染したり、お母さんのだ液や哺乳瓶からも感染したりすることがあります。ひどくなると哺乳量や食事が減ることがあります。


Bだ液の分泌量が少ない人

 だ液は口の中を清潔に保ち、バイ菌に抵抗する働きがあります。だ液が少なくなるとカンジダ菌にも感染しやすくなります。高齢になると、だ液量が少なくなり口の中が乾く「口腔乾燥症」の人が増えてきます。

C自分で口腔ケアが難しい人

 寝たきりの方や痴ほうの方は、自分で口の中を清浄することが難しいため、カンジダ菌に感染しやすくなります。さらに義歯(入れ歯)を入れたままにしていると義歯性口内炎になりやすくなります。

D吸入ステロイド薬を長期に投与している人

 喘息で長期にわたってステロイド吸入をしている人は、喉にステロイド薬が沈着してカンジダ菌が付着しやすくなります。ステロイド薬を洗い流すためにも、吸入後にうがいと歯磨きをしましょう。



<口腔カンジダ症にならないために>

@歯磨き、うがいをしましょう。

 口の中は、温かく湿ったところが好きなカンジダ菌の温床です。また歯垢は微生物のかたまりです。日頃からうがいや歯磨きをきちんとして、口の中を清潔に保つことが大切です。



A食事をきちんととりましょう。

 食事は栄養を補給するだけでなく、だ液を分泌させて口の中を清潔な状態に保つ役割もあります。食事の量や回数が少ないお年寄りや、寝たきりの方、不規則な食生活の方は特に気を付けてください。



B義歯は清潔にしましょう。

 義歯(入れ歯)をしている方は、義歯をつねに清潔に保つように心がけましょう。就寝時ははずしてやすみましょう。



C身体の不自由な方には、まわりで手助けをしましょう。

 寝たきりの方や痴ほうの方はご自分で口腔ケアを十分にすることができないので、家族やまわりの方で気にかけて、まめにケアしてあげましょう。

それでも口腔カンジダ症を見つけたら

 口腔カンジダ症は軽いものであれば適切な口腔ケアで改善しますが、さらに進行したものではお薬を使用しないと治癒しません。口腔カンジダ症を見つけたら、必ずお医者さんか歯医者さんの診断を受けてください。お薬が処方されたら、用法・用量を守って最後までしっかりお薬を使うことが大切です。口腔カンジダ症はかかりやすい体質を改善できない場合、再発することが多く、再発を繰り返すと難治性の口腔カンジダ症になるだけでなく、内臓真菌症の危険性も高まります。





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